編集部――ヒース・レジャー&シエナ・ミラー共演のこの作品ですが、感想をお願いします。
作花さん――テンポが良く、観ていて飽きない映画でしたね。
河合さん――予想とは異なるストーリー展開で、思ったほど恋愛的な雰囲気はなく、ラブ・ストーリーというよりは青春コメディ(?)だったかな、と思いました。“カサノバ”と聞いて何となく想像する(期待する)怪しい雰囲気はなくて、物語がリズム良く展開する、あっけらかんとした楽しい映画でした。
作花さん――その時代の背景を映し出しているところは、さすがにラッセ・ハルストレム監督だけあって、『ショコラ』に似ている雰囲気がありました。憎めないキャラと悪役が出ているところも彼らしい感じがしましたね。
河合さん――ヴェネツィア貴族風の衣裳をつけたヒース・レジャーは、ちょっと色っぽくて良かったですね。彼はカサノバのイメージではないなぁ、と思っていたのですが、「なるほどー」という意外な結末も用意されていましたし。 |
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編集部――彼も大分、男の色気を出せるようになりましたよね。それと、実は期待が過ぎたのかもしれないんですけど、シエナ・ミラーがそんなに光っていなかったと思うのですが、いかがですか?
作花さん――周りが名優過ぎたのかもしれませんね。それに、最後のドタバタなどは面白かったのに、あまりに上手くまとめすぎたかも。
河合さん――確かに“恋の達人”カサノバが身を捧げる女性としては少し説得力に欠けていたかも。色気が足りないというか……。彼女にはまだ早かったのかもしれませんね。どちらかというと、シエナ演じるフランチェスカとは恋敵の立場になる、ヴィクトリア役のナタリー・ドーマーの印象が強いように思いました。彼女が窓辺に立っているショットはヴェロネーゼの絵から抜け出してきたかのような美女ですけど、動き出すととたんに口元がくちゃっと崩れたり、怪力を発揮したりで、そのギャップがなかなか面白かったですよね。
編集部――シエナは現代劇の方が似合うのかも。担当も、ナタリーがあまりにも強烈だったので、映画を観た後、彼女のことを調べてしまったぐらいです。やり過ぎ感も否めないですけど、ヴェネチアを舞台にコスチューム・プレイするんだったらあれぐらいやってくれた方が、バランスがいいですよね。
河合さん――ホントはフランチェスカ(シエナ)は、この人工的なお姫様とは対照的に、際立った存在として立ち現れてこなくてはいけなかったと思うのですが、それにしてはちょっと物足りなかったでしょうか。そのあたりも「カサノバの恋愛」というより「カサノバの青春」みたいな印象を私が受けた要因の一つだったように思います。 |
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【ポイント】
◆カサノバって?
ジャコモ・ジローラモ・カサノバ。1725年〜1798年。聖職者、法律家、詩人、作家、ヴェネチア共和国軍少尉、フランス政府特使、ヴァイオリン奏者、ヴェネチア共和国秘密警察スパイ、賭博師、剣の名手、自由思想化、脱獄犯、カバラ秘術研究家、錬金術師、フリーメイソン会員、etc……。あまりに多くの顔を持る大いなる冒険家。その波乱万丈の生涯をフランス語で綴ったのが「回想録」。そこには130人といわれる女性たちとの愛と冒険の日々が描かれている。彼の自由奔放な生き方に多くの人が魅了され、スタンダール、アポリネール、バルザック、ゾラ、シュテファンツヴァイク、アンリ・ド・レニエなど多くの作家たちが刺激を受けている。 |
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編集部――なるほど。では、印象に残っているシーンや役者、ローケーション等がありましたら教えて下さい。
作花さん――やっぱり脇役たちが魅力的でしたね。みんながカサノバの味方になっているところが不思議ですけど(笑)、やっぱりそれほどカリスマ性がある人物だったということですよね。ヴェネチアの景色も良かったですが、舞踏会のシーンが素晴らしかった。ドレスの華やかで美しい色等に目を奪われました。個人的にはジョバンニ(チャーリー・コックス)が大好きです。
河合さん――フランチェスカのお母さん役のレナ・オリン、久しぶりに観られたので良かった! 嫌がる娘をお金のために結婚させようとしたりするのに、実は娘よりずっと乙女チック……。少しお年を召されましたが(笑)、それでも素敵でした。それから、プッチ司教役のジェレミー・アイアンズの、ニィーっと笑った口元とゴム手袋のような紫色の手袋には視線が釘付けになってしまいました(笑)。総じて脇の人たちのインパクトが強かったように思います。それと、屋根伝いに逃げるカサノバが、運河を飛び越して忍び込んだ先がヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコ! 何となく嬉しかったです。
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編集部――ずばり、見所を一言で言うと?
作花さん――カサノバがフランチェスカと逃げるところですね。何か『パイレーツ・オブ・カリビアン』に似た感じがして面白かったです。
河合さん――観終わって幸せな気分になれる、スーパー・ハッピー・西洋時代劇なので、素直にヴェネツィアの祝祭的雰囲気を楽しめるところでしょうか。音楽も気分を盛り上げてくれます。
編集部――お二人はこの作品、満足していただけましたか?
作花さん――はい、楽しかったです。最初は題名やポスターで、女性にはちょっと、と思っていたのですが、こんな人生もいいんじゃないかと思わせてくれる映画ですね。
河合さん――“ヴェネツィア”を強調してしまうと突っ込みどころも結構ありますが、そんなことは気にせずに楽しめる映画でした。
編集部――では最後に、どんな人にオススメできそうですか?
作花さん――う〜ん、誰にでも薦めたいですね。とにかくコメディー・チックな映画なので、年齢問わずオススメ出来ると思います。
河合さん――衣裳や室内装飾等がきらびやかなので、やっぱり女性が好きなタイプの映画ですよね。映画の冒頭とエンド・ロールの最後に流れるリュートの音楽がしんみりといい感じなので、ぜひ最後まで席を立たずにゆっくりと浸って欲しいです。
編集部――お二人ともご協力ありがとうございました! |
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『カサノバ』
“CASANOVA"
BV/ラッセ・ハルストレム作品
2005年/アメリカ/112min./スコープ/ドルビー(SRD:SR)
(C)TOUCHSTONE PICTURES
6月17日〜テアトルタイムズスクエアほか全国〈地方は順次〉 |
《ストーリー》
名匠ラッセ・ハルストレム監督が、史上最も有名なプレイボーイ“カサノバ”を主人公に描く痛快恋愛コメディ。18世紀のヴェネチア。巷は究極のプレイボーイ、カサノバ(レジャー)の噂で持ちきりだった。度重なる戯れにしびれを切らした総督()はカサノバに、良家の子女と結婚するように勧める。しかし、事は思わぬ方向に……。 |
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